腰痛は人間にとっては宿命的な病とされます。
腰痛は人間が他の動物と異なり、
2本の足で歩くようになったことと関係しているからです。

4本足の動物の背骨はC字状に宵曲し体重を4点に分散して支えていますが、人間の背骨は骨盤の上に四角い骨を重ねたような不安定な形をしています。
横から見ると、全体としてゆるやかなS字状のカーブを描いて上体のバランスを保っています。

腰痛の主な原因は腰の筋肉痛です。
人間の上体は前かがみになるとき、テコの支点となる腰椎には上体の重さの5倍以上もの圧力がかかるのです。

● 椎間板

背骨を構成する椎骨と椎骨の間には椎間板があり、
クッションの役目を果たしています。
無理な姿勢や動作で腰椎に偏った力が加わっても、
少々のことでは腰を痛めずにすむのは、
椎間板が内圧を各方向に分散させながら
ショックを吸収する働きをしてくれるからです。

椎間板は水分を多く含むゼラチン状の中身(髄核)を
線維の層(線維輪)が包み込んでできています。
成人になるころには、この椎間板は弾力性を失い、
ひび割れてきます。

偏った圧力が椎間板に加わると、
裂け目から髄核が飛び出して、
背骨の中を通っている神経を圧迫します。
これが椎間板ヘルニアです。

椎間板の中身(髄核)は老化とともに水分が減って、
高齢になるとパサパサの状態になります。
お年寄りの背が縮むのは、主に椎間板がこうした変化で、
厚みを失うためです。
このような状態になると、
椎間板がクッションの役目を果たせなくなるため、
椎骨どうしがぶつかり合う腰痛が起こりやすくなります。





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● 腰痛症

このタイプの腰痛はいつの間にか腰が痛くなり、そうよくも悪くもならず、
X線検査で骨や椎間板を調べても異常は見られません。

S字状の背骨をしっかり支えているのは背筋や腹筋などの筋肉ですが、
腰痛症はいわば腰の筋肉痛といえます。

原因は日常生活の姿勢に問題があることが多いため、
日常生活のちょっとした工夫やコツで治すことができます。
そうして腰をいたわることが、椎間板ヘルニアなど、
もっとこわい腰痛の予防にもつながるのです。

● ギックリ腰

ぎっくり腰は医学的な病名ではありません。
急性腰痛の時に使われる通称です。

普段では何も問題ないような動作で、
突然に衝撃的な鋭い痛みが腰の周りにおきる症状です。
疲労が溜まっているときなどに起こりやすいようです。

ギックリ腰は突発性腰痛といい、その原因としては、
腰椎の間にはさまってクッションの役目をしている椎間板がつぶれかけていたり、
腰椎の後ろ側にある小関節がはずれかけていたり、
腰椎をつないでいる靭帯が伸びたり、切れかかったりしている等です。

これらの神経は腰の筋肉にもつながっているため、
ギックリ腰になると腰の筋肉が強く緊張してケイレンを起こし、
身動きができなくなります。

ギックリ腰は、椎間板ヘルニアと違い1週間ほど安静にしていれば痛みが消え、
自分で動けるようになります。
無理をして病院などへ出かけるよりは家で安静にしていたほうが
治りが早いといえるのです。

動くことも出来ないようなギックリ腰になったときは、最初は患部を冷やします。
患部のマッサージや鍼灸は避けます。

まずは安静第一。
ツボを使うときは出来るだけ患部から遠いツボを使いましょう。

1、2日ほど冷やしつづけると、筋肉のケイレンがとれて痛みが少し楽になったら、
今度は患部を温めます。
温めると腰の筋肉の血行がよくなり、さらに楽になります。

ただし、安静にしていても、どんどん悪くなる場合は、
ギックリ腰よりも症状が重く、神経などを痛めているおそれがありますので、
早めに医師の診察を受けてください。




<参考>
2013年、厚生労働省は驚くべき調査結果を発表しました。
国内の2800万人が腰痛に苦しんでいて、しかも8割が原因不明であることも明らかになったのです。
日本整形外科学会はこれまでの腰痛治療の常識を覆す「治療ガイドライン」を発表しました。
発症から72時間未満の急性腰痛の場合でも「安静は必ずしも有効な治療法といえない」。
さらに多くの腰痛の原因は「心理的・社会的ストレス」だとし、日常生活の改善こそが腰痛予防につながるということです。